すでに退職された方の自己都合から会社都合について

まだ、退職されていない方であれば、「会社都合にできる退職理由について」から照らし合わせて、対策を練ることができたり、対策を練らなくても会社都合にできる状態の人は、そのまま、会社都合で退職ができます。

しかし、中には、失業保険についての詳しいノウハウを知らなかったために、何も考えずに自己都合で退職をしてしまった人は多いのではないでしょうか?

また、会社都合にできてたのにも関わらず、自己都合で退職されている方もいるかと思います。

通常、退職前に会社側が本人へ離職証明書を持ってきます。その内容(自己都合での退職)を確認し、「異議あり」、もしくは「異議なし」のどちらかに、チェックしなければいけません。

ここで、「異議なし」にチェックすれば、もちろん、自己都合としての退職とみなされます。

この書類を本人が退職した後にハローワークに提出するわけですが、この後に行う手続きの仕方によっては、自己都合から会社都合として退職にできる可能性があります。

それでは詳しい流れについて説明いたします。

 

本人が退職する(「異議なし」として)。

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会社がハローワークに自己都合と記載されてある離職証明書を提出し、それに基づき会社に離職票を発行。

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会社から離職票が郵送されてくる。

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ここでもう一度、会社から送られてきた離職理由に関して異議がないか答える。※(ここではかならず異議ありにチェックをする)

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離職票を持ってハローワークで手続きを開始する。

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会社と本人の離職理由が違うため両方に事情聴取を行う。
※(最初に異議なしでの退職届を提出していますので、その理由を答えなければならない。「会社との関係をできるだけ壊さず退職したかったから」などと答えれば大丈夫です。)

 

以上のような流れで、会社側に証明できる証拠(給与明細)などをもっていれば自己都合から、会社都合に切り替えることができます。

しかしやはり、退職前から計画だてて準備を行っている方がスムーズに会社都合の手続きがとれることは間違いないと言えそうです。

得する離職の仕方について

退職理由が自己都合なのか、会社都合なのか?

退職理由が自己都合なのか、会社都合なのかで、失業保険の給付額に大きな差がでてきます。

もちろん、給付額が多いのは会社都合による退職です。

今までは倒産、解雇などの理由でしか会社都合として認められてきませんでしたが、法律の改正、新制度の成立後からは、会社都合として退職できる条件の幅が広がりました。

特定受給資格者(会社都合での退職者)と一般受給資格者(自己都合での退職者)の違いについて

  1. 失業給付日が異なる
    • 特定受給資格者の場合 一週間後に支給が開始される。
    • 一般受給資格者の場合 4ヶ月後に支給が開始される。
  2. 失業給付の付与日数が異なる
    一般受給資格者90日  → 特定受給資格者180日になる!
    一般受給資格者120日 → 特定受給資格者240日になる!
    一般受給資格者150日 → 特定受給資格者330日になる!
  3. 退職金が異なる
    勤務年数が20年の課長職を例に挙げた場合
    一般受給資格者600万 → 特定受給資格者1600万になる!
    これを失業給付と合わせると1000万以上の差が生まれてくる!!

会社都合にできる退職理由について

1.採用の際に記されていた労働条件(労働時間、勤務地、職種など)と 著しく違うことを理由に退職した者。

※しかし、退職して一年以上経過した場合は該当しない。

必要書類・・・採用条件が記された労働契約書、職業規則など。


2.労働者に支払われる賃金(残業代、賞与等を除く。)が、当該者に 支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することが 見込まれることとなった)ため退職した者。

必要書類・・・労働契約書、就業規則など。


3.事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく 害されるような言動を受けたことにより退職した者。(特定個人を対象とした配置転換、給与体系等の変更、セクハラなど)

必要書類・・・配置転換の辞令、就業規則、労働契約書など。


4.2か月以上連続で賃金の3分の1以上が支払われなかったことを理由に退職した者。

必要書類・・・労働契約書、就業規則、給与明細など。


5.事業所から退職するよう勧奨を受けたこと(従来から設けられている「早期退職者優遇制度」等に応募して退職した場合を除く。)により退職した者。

必要書類・・・なし。


6.10年以上同じ職種に就いていたにもかかわらず、十分な教育訓練も与えられず配転させられ、その結果、専門の知識または技能を十分に発揮できる機会を失い、新たな職種に適応することが困難なため退職した者。

必要書類・・・採用条件が記された労働契約書、配置転換の辞令


7.労働契約上、勤務場所が特定されていた場合に、遠隔地(通勤に報復四時間以上)に転勤を命じられ退職した者。

必要書類・・・採用条件が記された労働契約書、配置転換の辞令


8.事業所の移転、廃止などで通勤時間が往復4時間以上になったことで退職した者。

必要書類・・・転勤の辞令など。


9.使用者の責めに帰すべき事由により、休業が連続3か月以上となっとことで退職した者。

必要書類・・・給与明細など。


10.事業所の業務が法令に違反したため退職した者。

必要書類・・・事業所の法令違反が証明できる資料。


11.希望退職募集

必要書類・・・希望退職募集要項など


12.離職の直前3ヶ月に連続して各月45時間を超える時間外労働を行ったことにより退職した者。

有期労働契約が1回以上更新されて、3年以上継続して雇用されていた場合に、契約が更新されないことを理由に退職した者。

必要書類・・・労働契約書、就業規則など。


13.家庭的事情を抱えた労働者が遠隔地への転勤命令が出されたため退職した者。

必要書類・・・転勤の辞令など。


14.特定の職種で採用されたのにも関わらず、その職種を配転され、賃金が低下し、配転後の3か月以内に退職した者。

必要書類・・・労働契約書、職種転換の辞令など。

労働組合への加入について

個人対会社についての解決方法は紛争解決援助制度などを元に説明してきましたが、会社相手に個人で戦うのは少し心細いと思われる方もいるかもしれません。

そのような方にお勧めなのがこの労働組合への加入です。

労働組合に加入すれば、交渉の専門家や、同じ悩みを抱える人たちと一緒になって(団体として)会社に対して申し立てすることができます。

逆に言えば、加入した時点で個人ではなくなるので、個人の労使トラブルが対象である「斡旋」申請はできなくなります。

しかし、斡旋申請では会社側に断れたら強制力がないため申請できませんでしたが、労働組合では団体交渉で申し込むため、法律上、会社は団体交渉の申し入れを拒否できないことになっています。

ですので、第一回目の団交日はすぐに決定されます。



労働組合の選び方については、いくつかの労働組合を見てから、一番自分にマッチしていたものに加入するという形が良いかと思います。

最初に見に行ってすぐに加入する必要はありませんので、組合のいろいろな方と話してみて決めて頂くのをお勧めしています。

裁判での解決法

紛争解決援助制度を利用して、あっせん申請が断られた場合、他の解決策で問題を処理していかなければなりません。

代わりになる解決策として裁判しかないと言っても過言ではありません。

ご存知の方もいるかもしれませんが、裁判はお金、時間、テマと自己負担するものがかなり大きいと言えます。

しかし、裁判でもお金、時間、テマがあまりかからないものがあります。

それが「仮処分」と呼ばれる仮の裁判です。

これはたったの1500円で申請することができ、2週間ほどで結果が出ます。

※「仮処分」は以下のような流れで進行していきます。

1. 申立書の申請を行う

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2. 申立から2週間ほどで一回目の裁判官からの聞き取り調査(審尋)が行われる

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3. 和解もしくは裁判官の打ち切りによって仮処分が終了

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4. 和解で解決しない場合は最終審尋の結果が郵送される

※仮処分は本裁判と違って非公開です。

また、仮に自分の申立てが無効になっても本裁判に比べて失うものが限りなく少ないと思います。

残業代について

  • 残業代について
    労基法により法定労働時間は、1日8時間、週40時間と決められております。
    これを超えた労働時間は全て「残業」になります。
    すなわち会社は労働者に対して、残業代を支払わなくてはなりません。
    また、残業(時間外労働)以外にも休日労働、深夜労働も同じく賃金の割増になります。
  • 時間外労働・休日労働・深夜労働の割増率
    時間外労働        →25%以上
    深夜労働         →25%以上
    休日労働         →35%以上
    休日労働+時間外労働   →35%以上
    深夜労働+時間外労働   →50%以上
    深夜労働+休日労働    →60%以上


    ※単に居残って仕事をしていたら残業とはなりませんので注意。 あくまで、業務命令のもとで行った時間外労働です。
  • 残業手当の計算方法について
  1. 月給でもらっている人は、時給になおす。
       (月給の合計 ー 除外手当の合計)÷ 月の所定労働時間
  2. 1で出た数(時給)×1.25×時間外時間数

※除外手当については以下のようなものが挙げられます。

  • 退職してしまったら残業代は請求できないのか?
    残業代は退職後にも請求できます。
    しかし、2年を超えると請求できなくなります。
    残業代の請求権の時効が2年
    証拠がそろっていれば会社は不払い分を払わなくてはなりません。
    退職後は会社に遠慮することもないでしょうし、残業代未払いを含めながら、会社都合での退職にするのがベストだと思います。

残業代が出なくてもしょうがないと諦めていませんか…?
たった7日で過去2年分の残業代を会社に支払わせる方法があります。

有休について

  • 有休について
    有休とは、労働者が仕事を休んでも、会社に対し賃金請求できる日のことです。
    現在の日本社会においてこの有休は非常に行使しづらく、有休の権利を使わないまま、会社を辞めていかれる方も多く存在します。
    また、現在働いている人たちの中には、「有休」という権利については知っているが、その詳細まで知っている方は少ないのではないでしょうか。
    実際にどのような人が、どのくらいの期間、有休がもらえるのかについて詳しくみていきたいと思います。
  1. 有休がもらえる条件について
    • 入社日から6か月間、継続して勤務していること
    • その6か月間の全労働日の8割以上、出勤していること
    ※全労働日とは会社で働く義務がある日のことです。

8割以上の出勤を確かめるためには以下の計算式で調べることができます。

出勤日÷全労働日×100>全労働日の80%

※以下の理由で会社を休んだ場合には、出勤扱いとみなされます。

  • 有休休暇の日
  • 業務上の怪我や病気での欠勤
  • 産前産後の休暇による欠勤

※以下の理由で会社に出勤しても、欠勤扱いとみなされます。

※有休休暇の日数に関しては勤続年数によって変化してきます。

以下がその詳細になります。

※勤続年数6ヶ月 → 休暇日数・・・・・・10日
※勤続年数1年6ヶ月 → 休暇日数・・・・11日
※勤続年数2年6ヶ月 → 休暇日数・・・・12日
※勤続年数3年6ヶ月 → 休暇日数・・・・14日
※勤続年数4年6ヶ月 → 休暇日数・・・・16日

休暇日数は3年6か月以降、2日ずつ増えていくことになります。

6年6か月の勤続年数で20日の休暇日数になりますが、それ以上の勤続年数であっても休暇日数は20日以上にはなりません。

休暇日数は20日が最大となります。

有休の有効期限は2年間です。ですので、翌年に持ち越すことができ、最大一年で40日の有休を取得することができます。

※アルバイトやパートでも有休はもらえます。

アルバイトやパートは勤続年数だけでなく、週の勤務日数や年間勤務年数で有休日数が異なってきます。

職業訓練校について

職業訓練校での目的はこれから就職するにあたってのスキルを身につけることではありますが職業訓練校に入校することで得られるメリットが二つあります。

1.失業給付が延長される。

職業訓練校に通っている期間、失業給付は延長されます。つまり、お金を貰いながら職業訓練校に通うことができます。職業訓練校が終わると同時に、受給もストップします。

2.自己都合で退職した方の給付制限が解除され、すぐに受給可能になる。

自己都合退職では3か月の給付制限がかかり、実際に受給できるのは4か月後となる。しかし、職業訓練校に通うことにより、会社都合退職者と同様に即支給される。

 

職業訓練校に入校する時の注意点について

職業訓練校に入学すると失業給付が延長されますが、以下の二つの条件をクリアしなければいけません。

・規定以上の支給残日数があること
ハローワーク経由で入校すること

この二つを満たしていないと職業訓練校に入校しても延長することができません。

入校を決意したら、まずハローワークで相談することです。そこで、今後の計画を立ててから入校すれば支給残日数を間違えたりすることもないでしょうし、当り前ですが、ハローワーク経由で入校できます。